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第30回 勝利は時の運か 日刊アマ関東決勝戦

夏が終わると崩れ落ちるようにゴルフの調子が悪くなった。ガラガラと音を立てて崩れ落ちていくのを、ただ呆然と受け入れるしかなかった。

原因はわかっている。夏の間、北海道に滞在している時はまったく練習をしなかったからである。週に一度程度のラウンドに行っていたから、ちょっとくらい練習をサボってもそれほど影響は出ないだろうと高をくくっていた。

しかし、よく思い出してみれば、すでに夏のド真ん中あたりから明らかに下降線を辿っていた。まずいな、危ないなと薄々気が付きながら、静かにそして確かに入った亀裂に目を背けているうちに、取り返しのつかないような大きな割れ目となってガラガラと崩壊したのだ。

もともとスポーツの経験もなく、運動音痴のわたしが40歳を過ぎて始めたゴルフ。レッスンに足繁く通い、週に二度、あるいは三度とコツコツと地味に練習を続けているのは上達のためというよりも、それぐらいやらないと現状を維持できなかったからである。

1ヶ月半も練習を怠ればどうなるのかは、火を見るよりも明らかなのだ。

北海道から戻り、ほぼ毎日のようにいつもの練習場に通った。夏の間は姿を見せず、帰って来たと思ったら毎日のように現れるわたしに、「大きな試合でもあるのかい?」と常連さんが声をかけに来たほどだ。

そう、大きな試合がすぐ目の前に控えていた。

龍ヶ崎カントリー倶楽部、とそのコースの名を口にすると、誰もが「あそこは難しいよ」とか「てごわいコースだからね」と気の毒そうな顔をした。7月に埼玉の久邇カントリークラブで予選通過を果たした日刊アマゴルフの関東決勝大会、その開催コースが茨城県にある龍ヶ崎カントリー倶楽部だ。

朝から快晴。名門コースを回るには最高の天気に恵まれた。

美しいコースである。だが白ティー、Oグリーン使用で全長6400強という長さは女子プロ並みで、かなり大変だった。400ヤード近いミドルホールは1打目をナイスショット、そして2打目も奇跡のナイスショットを繰り出したにもかかわらずグリーンに乗らないとなると、さすがに気持ちはへこむ。まだまだだなあと思い知るのである。

井上誠一の「もとの地形を生かした設計」は噂に違わぬ難しく、ドッグレッグや谷をまたぐホールなど、腕前と脳ミソをフル回転で使わないととても太刀打ち出来なかった。

各予選を勝ち上がってきた選手は60名。一組3名の組み合わせのラウンドだったが、わたしの組は一人欠員が出て、可愛らしい女性と二人きりでのラウンドとなった。二人でフェアウェイを歩きながら、なんだか贅沢ね、それに日本シリーズの男子プロみたい、とくすくす笑い合ったりしたが、二人というのは静かで集中できて、プレーにはすごく良かったような気がする。

前半5ボギーの41で折り返し、これは我ながら出来すぎだなと思うと同時に、「やはり、練習は裏切らないんだな」とも思っていた。ショットが抜群に良かったのは、なんといってもここ最近の練習の成果が出ているのだろう。地道に練習を繰り返して良かった、コツコツとやれば結果は出るんだな、と実感したのも事実である。

後半は43、あわせて84はシニア部門で第2位、総合では14位タイとなり全国大会に進めることになった。十分すぎる出来である。

練習は裏切らない。練習しておくにこしたことはない。それは確かである。しかしその一方で、さらに「運」というものも大きく関与していると思えてならない。言ってしまえば、今日は運が良かっただけ、という気もする。

たとえば、残り160ヤードのセカンドショット、グリーンの手前には顎の高いバンカーが控えている。わたしが打ったボールはまっすぐにピンを目指し、バンカーをギリギリで越えてグリーンに乗った。2パットでパー。それは「運良く」バンカーを越えたからであり、ほんの少しの加減が違えばバンカーに入り、1打、あるいは2打は多く叩くハメになっていた。どちらかといえば、後者のほうがいつもの自分である。

ギリギリでバンカーに入らずに済んだ。ギリギリで木に当たらずに抜けていった。ギリギリでカップを通り過ぎずに吸い込まれて行った。そんなシーンは他にもいくつもあった。そして、いずれの場面でもギリギリで、みんな良い方向に転がっていったのである。それは全て技術で、練習の成果でそう出来たことなのかと聞かれたら、そうだと言い切る自信はない。

終わってみて18ホールを振り返り、勝てる時というのは技術とともに、さらに時の運を味方につける必要があるのではではないかと思っている。


ゴーゴー以知子
埼玉在住。家から30分圏内にゴルフ場が15ヵ所ぐらいあります。もっぱら近場の地元ゴルファーですがお誘いがあれば遠方にも出かけて行きます。ウッド系はTaylorMade R9、アイアンはYAMAHA inpresX Z cavity。2011年10月に行われた日本オープン選手権のプロアマ大会に出場。以来、一緒にラウンドしたJ・チョイさんの大ファンです。自身が主催する「いちこ杯」も3年目を迎え、ゴルフ友だちとの大切な触れあいの場となっています。

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